
現在発売中の「セラピスト8月号」では、あらゆる人間関係の悩みを改善へと導く、心理カウンセリングを特集しています。その中で、「家族療法」の考え方とお金の悩みを心理学からアプローチする「ファイナンシャルセラピー」について臨床心理士の岸原麻衣さんが解説しています。ここでは、「ファイナンシャルセラピー」とは何か? その概要を紹介します。
ファイナンシャルセラピーとは?
「金融」と「心理学」を融合させた支援分野である、「ファイナンシャルセラピー」。2008年に起きたリーマンショック後のアメリカにおいて、「お金の問題と心の問題は切り離せない」という認識から発展しました。家計の改善や資産形成といった経済的な課題だけでなく、不安や罪悪感、自己否定感など、お金にまつわる感情や価値観にも目を向けるのが大きな特徴です。
ファイナンシャルセラピーでは、「なぜお金を使いすぎてしまうのか」「貯蓄や投資に踏み出せないのはなぜか」といった行動の背景にある心理を丁寧に探っていきます。その人が幼少期から育んできたお金に対する信念や価値観である「マネー・スクリプト」が現在の行動に影響していると考え、それらを理解し、新たな行動パターンへつなげることを目指します。

お金に対する自分の価値観をチェックしてみよう
ここでは、お金に対する価値観を理解する上で重要な、4つの「マネー・スクリプト」について紹介します。以下の設問で当てはまるものがもっとも多い項目は何でしょうか。チェックしてみましょう。
〈4つのマネー・スクリプト〉
①「崇拝」
・お金さえあれば幸せを感じる。
・「全ての問題はお金で解決できる」と思う。
・お金は人生を豊かにし、幸せになれる絶対条件だと思う。
・自分は過剰にお金を欲する方だと思う。

②「地位」
・資産=自分の価値と考えがち。
・「収入が多い人は偉い」と思う。
・お金を持っている人が社会的な価値のある人だと思う。
・周りと比較して、他人からどう見られているかを重視しやすい。

③「警戒」
・お金を失うことに警戒しがち。
・お金に関しては家族にさえも話さない。
・お金を溜め込むタイプ。倹約家。
・自分のためにも人のためにお金を使うことが苦手。

④「回避」
・「お金は悪、汚いものだ」という感覚がある。
・お金を極力扱いたくない。
・お金を湯水のように使ってしまう。
・いつもどんぶり勘定になりやすい。

いかがでしょうか? 誰もがお金に対する思い込みがあり、複数の傾向をグラデーションのように持ち合わせています。
自分の傾向を知ることで、お金に対する価値観の形成に大きな影響を受けた経験を思い出したり、抱えていた感情を自覚したりするかもしれません。それは、悩みの根本的な原因をつかむための大きな手がかりになるでしょう。
感情を整理することで悩みの本質を向き合える!
「ファイナンシャルセラピー」とは、単なる家計相談ではなく、心の安全性を確保しながら感情や体験を整理することで、お金との健全な関係性を築いていく心理的アプローチです。例えば、衝動買いやリボ払いを繰り返すケースでは、「意志が弱いから」と片付けるのではなく、その背景にあるストレスや孤独感、過度な自己批判をしていないかなど、心の深層に着目します。また、心理的な支援だけでは解決が難しい場合は、ファイナンシャルプランナーなど金融の専門家と連携しながら支援を行うこともあります。
お金の悩みを経済面からだけでなく、心理学の側面から知ることで、自分の価値観を見つめるきっかけにしてみましょう。












