一般社団法人プラスアロマ協会代表理事・齋藤智子さんに学ぶ
「アロマ調香デザイン学」のエッセンス

投稿日:2020年1月7日

第4回
「空間を創る『3つの間』」

これまでアロマセラピストとして、アロマスクール、マッサージケア、香育など様々な活動の中で、6,000を超えるアロマ調香を行ってきた、一般社団法人プラスアロマ協会代表理事の齋藤智子さん。 なかでも特にこだわってきた「アロマ調香」と「香りのブレンディング」について、「セラピスト誌」で連載しています。

今回のテーマは、「香りの組立て方」の「重要な3つのポイント」。そして、皆さんが知りたい香り創りのための「センス磨き」について解説します。
文◎齋藤智子(一般社団法人プラスアロマ協会代表理事)

セラピスト誌で紹介!

懐石・会席料理「可不可」の香りをプロデュース!

現在発売中の「セラピスト2月号」では、アロマ調香デザインを行う上で重要な、「空間を創る3つの間」について解説しています。それは、①空間、②時間、③人間の3つです。ここでは現場の事例を通して、この「3つの間」について紹介します。まずは「小空間」のアロマ調香デザインから。
食事の場所に匂いは合わない――
こんなことを聞いたことがありませんか? あるいは一般的に、そのように思われる人が多いかもしれません。この「合わない匂い」とは、強い香水やコロン、タバコの匂いのように、食事の味や風味、香りを楽しむ「目的」を邪魔する、ある種の匂いの存在のことを言います。
この「食事と香り」という難題に取り組んだ事例が、東京・麻布十番にある懐石・会席料理のお店「可不可」です。

「可不可」のオーナーは長年に渡ってこちらのお店を経営され、他にも複数店舗を監修されています。食事に必要な食材や調理法、調理器具から食器や伝統工芸作家まで、あらゆることにこだわりを持っています。

まずお店の下見を行い、3つの間をチェックしました。空間としての広さ、キッチンの換気、入口の換気、料理中の匂い、食事が出てくる時の流れなど、確認とイメージを膨らませていきます。
こちらの食事はお酒を含めると2時間以上かかりますから、「通過型」ではなく「滞在型」の施設となります。また、食事に来られるお客様は30代後半〜50代の方が多いようです。
ブレンド内容は非公開ですが、食事を邪魔することなく、食欲を引き立てることを目的に、食前、食中、食後に分けて考えました。この時、主役はあくまで「食事」であり、香りは脇役としての目的を果たすことを前提に、香りをデザインしていきます。もちろん歴史ある「可不可」を想起する香りもデザインに含まれます。
その結果、お昼のコース料理、また夜のコース料理ともに「バラ」をテーマにした香りと食事、そしてお酒のコラボレーションを行い、食事に来られた方から好評をいただきました。

今後は、常設でも香りの導入を検討していく予定です。

「COREDO日本橋 オフィス棟」のアロマ調香

続いて中規模空間の例として、オフィスにおける香りの取り組みを紹介します。東京日本橋にある三井不動産様が展開している「COREDO日本橋 オフィス棟」における香りの導入事例です。
「空間」の特徴は、オフィス棟の12階にありOASISという名称がつくこと。そして500平米を超える広さがあり、ランチ時やイベントの際には100名を超える方が訪れ食事や休憩をします。そこで換気の状況を確認し、香りが流れていく方向と範囲を確認します。

またOASISには、書籍が読めるライブラリースペースや、絵画展示スペース、健康促進のためのマッサージが受けられるエリアもあります。来られる方の目的は、食事や休憩などを中心とした「滞在型」となりますが、香りを噴霧している場所はOASISの受付と入口なので、時間管理としては「通過型」となります。
オフィスワーカーの方は集中力を高める仕事から離れ、一瞬のリラックスや気分転換にこの場所へ来られます。
この点を踏まえて、目的から香りをデザイン化していきます。

繰り返しになりますが、デザインをする時はセンスに任せるのではなく、目的から設計すべきです。そしてそれが正しいかを確認することも大切です。なぜなら自分にとって良い香りが、その場所にいる人にとって良いとは限らないから。
このCOREDO日本橋 オフィス棟には、2600名のオフィスワーカーがいます。ビルに入居している企業は日本企業だけでなく、海外からの外資系企業もあり、ビルには日本人の他に多国籍な外国人もおられます。
グラフ1は、香り導入後に行った全体アンケートの一部です。

香りの印象として、「心地よい・いい香り」という総論が半数以上を占めました。続いて「爽やか・落ち着く・気分が明るくなる・優しい気持ちになる・元気が出る・目が覚める・食欲がでる」と具体的な印象が述べられています。
このようなフィードバックを得て、現在のアロマブレンドがどのような効果をもたらしているかを数字と具体性で分析することが「香りの成績表」になります。そして、導入先1件1件のフィードバックや効果を確認し積み上げることにより、アロマをブレンドしていく醍醐味を感じることができると思います。
なお、三井不動産様の取り組みには「番外編」があります。それは、「アロマの夕べ」と題した試みです。これは、「日本酒とアロマ調香」「ワインとアロマ調香」という2種のブレンドした香りを楽しみつつ、スパークリングや白ワイン、赤ワイン、銘柄別のお酒を飲むことで、より美味しく感じられるものなどを探す取り組みです。

今回紹介した「可不可」「アロマの夕べ」のように、お酒と香り、そして食事と香りの際に目的を定めることで、よきマリアージュが誕生します。是非、みなさんも楽しんでください。

今月のアロマ空間演出レシピ
小寒――寒い冬に自宅でホッと一息ゆるむ香り

キーワード
新年、森林、みかん、お風呂
レシピ
・ゆず         15%
・オレンジスイート   20%
・ベルガモット     10%
・ユーカリラディアータ 10%
・ラヴィンツァラ    10%
・ホーウッド      15%
・ヒノキ        15%
・シダーウッド     5%

寒さが厳しくなり、1年中で最も寒い季節になりました。家に帰ってホッと一息したいとき、眠る前のほっと緩む時間に。柑橘と木の香りを重ねた、あたたかみのある組み合わせです。

Profile

齋藤智子さん
さいとう・ともこ アロマ調香デザイナー®。一般社団法人プラスアロマ協会代表理事。京都で十代続く家に生まれ、伝統的な香り文化に親しむ。一部上場企業勤務を経て、アロマの世界に入り、6,000種類以上のブレンドを制作。調香のプロを育成する傍ら、企業の香りブランディングやメディア掲載も多数。アロマブレンドの第一人者。

書籍 「アロマ調香デザインの教科書」 好評発売中!

香りってすごい。企業はじめ各方面から注目される「精油の力」。
展示会やホテル、イベント会場、オフィスなどに「香り」を利用する企業が増えています。
今や精油は、ブランディングやマーケティングにも活用されているのです。
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