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一般社団法人プラスアロマ協会代表理事・齋藤智子さんに学ぶ

「アロマ調香デザイン学」のエッセンス

投稿日:2019年11月3日 更新日:

第3回
「香りの組み立て方」

これまでアロマセラピストとして、アロマスクール、マッサージケア、香育など様々な活動の中で、6,000を超えるアロマ調香を行ってきた、一般社団法人プラスアロマ協会代表理事の齋藤智子さん。 なかでも特にこだわってきた「アロマ調香」と「香りのブレンディング」について、「セラピスト誌」で連載しています。また11月30日には、アロマ調香のすべてが分かる、「アロマ調香デザインの教科書(仮題)」を出版予定です。

今回のテーマは、「香りの組立て方」の「重要な3つのポイント」。そして、皆さんが知りたい香り創りのための「センス磨き」について解説します。
文◎齋藤智子(一般社団法人プラスアロマ協会代表理事)

セラピスト誌で紹介!

香りを組み立てる時の「3つのポイント」とは?

「香りの組立て方」には、以下の3つのポイントがあります。
①ノート(香調)と強さ
②香りの系統と相性
③香りの機能性

①ノート(香調)と強さ

「ノート」とは音符/香調のことで、19世紀にヨーロッパで活躍した調香師セプティマス・ピエッスが香りを音になぞらえて考案した言い方です。実際には時代的な背景、香料の均一化がされていないため、古い文献には現在私たちが手にする精油の分類とは異なるものも多いのですが(例えばトップノートにジャスミン、ガルバナムなど)、当時としてはユニークな方法だったようです。
ここで紹介するノートは、純粋な精油の特徴である「揮発」という性質を使った分け方です。揮発する速さ(時間)は精油ごとに異なります。この揮発する速さをノート、という言葉で表現しています。これを5段階に分けたものが次の図1になります。

図1

精油のノート
トップノート 香りを付けてから1時間、香りが持続します。柑橘類やグリーンノートなど軽いフレッシュな香りが多く存在します。最初に香るため、第一印象を表現する香りです。 オレンジスイート、グレープフルーツ、シトラネラ、スペアミント、レモン、ペパーミント、マンダリン、ベルガモット、ユズ、イヨカン、ハッカ ブレンド割合
30〜50%
トップミドルノート トップとミドル両方の特徴を持つ香りです。 ローズマリー、ティートリー、ユーカリ、レモンユーカリ、レモングラス、ラバンツァラ、メイチャン、ブラックペッパー ブレンド割合
10〜30%
ミドルノート 1〜4、5時間香りが持続します。ハートと呼ばれ、ブレンドの中心的役割となります。全体のバランスをとるバランサーの役目になる香りが多いです。 パルマローザ、クラリセージ、サイプレス、ジュニパー、パイン、プチグレン、スイートマージョラム、ラベンダー、カルダモン、タイム、フェンネル、ローレル、ホーウッド、ブラックスプルース、ヒノキ、クロモジ、ホウショウ、モミ ブレンド割合
10〜30%
ミドルベースノート ミドルとベース両方の特徴を持つ香りです。 ネロリ、ジャスミン、ゼラニウム、イランイラン、ローズオットー、メリッサ、カモミール・ローマン、カモミール・ジャーマン、フランキンセンス、クローブ、ジンジャー ブレンド割合
10〜20%
ベースノート 4時間〜数日、香りが持続します。深い香りは全体を包み込み、ブレンドをまとめてくれる役割があります。鎮静やリラックスなど感情や精神的な部分に働きかける香りです。 サンダルウッド、シダーウッド、パチュリ、ベチバー、ベンゾイン、ミルラ ブレンド割合
5〜10%

このノート毎の揮発速度を意識して、バランスよくブレンドをすると精油の香りもよくなり長続きします。 例えばトップノートの香りばかり選んでしまった場合、爽やかで躍動感がある香りが出来ますが、すぐに香りがしなくなってしまいます。逆に、ベースノートの精油ばかりをブレンドすると大人っぽい落ち着いた香りにはなりますが、香り立ちが悪く、香りもなかなか広がらず重たい印象になります。
香りの印象は最初のトップノートからミドルノートでどれだけオリジナリティや印象を与えることができるかが判断の決め手となると言われています。
表には、主な精油名、ブレンドの割合も記しましたので参考にしてください。

②香りの系統と相性

香りの系統は主に7つに分かれます(図2)。
ハーブ系、シトラス(柑橘)系、フローラル系、オリエンタル(エキゾチック)系、樹脂系、スパイス系、ウッド系です。各系統にはたくさんの香りが含まれます。
「アコード」という言葉は協和音を表し、2つ以上の芳香物質が調和のとれたブレンドになっているものを言います。同じグループではこのアコードが取りやすく、別にも、例えば隣り合ったグループは相性が良いとされています。また、個性が違うものをあえてブレンドをするのも、重さやしつこさを和らげることもありますので、ぜひ試してみてください。
例)オレンジスイート+ゼラニウム+ローズ+サンダルウッドに、ペパーミント経験値が少ないと、どうしても自分が得意とする系統や、植物に偏ってしまいます。ぜひ、実際にブレンドを行ってみてください。

図2

③香りの機能性

香りの機能性については、芳香成分による薬理作用があります。ここについてはまた別の機会にお話ししたいと思います。

香り創りの“センス”を磨こう!

では次に、香り創りのセンスの磨き方、についてです。
「アロマ調香のセンスを良くするにはどうしたらよいか?」という質問を多く頂戴しますので、ご参考にしていただければ嬉しいです。
ここでお伝えするセンスとは、「自分の得意分野の香りだけでなく、様々な香りを使いこなし、目的にあった香りをブレンドできること」という概念で進めていきたいと思います。
この場合、次の3つを押さえることが大切だと思います。

①定番と流行を知ること
②共通点や傾向を見つけること
③アロマブレンドの経験値を増やすこと

①定番と流行を知ろう!

アロマの場合、たとえば、リラックス系であるラベンダーを主体としたプレンド、リフレッシュであれば、柑橘やすっきりした精油中心で、また、女性向けのWomanブレンド、というものであればゼラニウムやローズなどが定番であることは皆さんもご存知のことと思います。
ラベンダーの香りは香水、ポプリ、石けん、柔軟剤、化粧品、ハーブティーなどに使われています。歴史も古く古代ローマ時代から様々な用途に使われていることなどから、ラベンダーの精油は“万能”、あるいは“世界で最も使われている精油”と言われるほどです。
実はラベンダーには種類が色々とあり、ラバンディン、アングスティフォリア、スーパーなど、それぞれの種類によって芳香成分も違うので、その香りや使い道なども異なってきます。

次に「流行を知る」ことですが、香りの人気はアロマだけでなく、香水をみると更に分かりやすい一面があります。19世紀、ゲランやコティの香水専門店の誕生の時代は、シングルノートといわれる単一の花の香りを使うことが主流でした。このとき、新境地を開拓したと言われる「シャネルNo.5」は、イランイランとネロリなどのトップノートに続いて、ミドルノートではローズドゥメとジャスミンなどのフローラルの広がりをみせつつ、ベチバーやサンダルウッドによるラストノートで香り文化を新たに創り上げたと言われています。
1980年代に入ると、官能的で挑発的な香りが人気となり、クリスチャンディオールの「プワゾン(毒)」や女性らしさを再認識させるような香水サンローランの「パリス」などが世界中で流行しました。
その後1990年代になり、IT革命とともにストレス社会という言葉が生まれた頃には、香水でもエスケープ(現実逃避)が流行し、ストレスフルな社会からこの香りによる逃避というコンセプトが共感を得ました。
皆さんも記憶にあるかもしれませんが、ちょうどこの頃、カルバンクラインの「CK One」が世界的な大ヒットとなりました。これは女性と男性が共に使える「ユニセックスな香り」です。性別を超えて使われる香り。この頃から変化してきたということを実感します。
2000年から現代は、香水の自然回帰として、天然香料を多く配合し、アルコールフリーや、環境や香料産地のフェアトレードにも配慮した製品が求められる時代になっています。
また、現代はそれぞれが目指す人物像が多様化していて「自分らしく生きる」のように、個人のアイデンティティを高め、生き方、ライフスタイルにこだわりを持つ人が増えているように思います。そこに、付随して自分らしい香りを創る「パーソナルオーダーメイド」の香水も求められてきているようです。
より自分らしく、また幅広い香りの表現が好まれ、香水ブランド自身が「レイヤード」、「コンバイン」、「カクテル」という表現を用いて複数の香水の重ね付けを提案しているのも、今の流れなのだと感じます。

②共通点や傾向を理解しよう!

「人・場所・目的」毎に好まれる香りの傾向やその強さについて知ることも大切なことです。
その一つに”地域性”というものがあります。
昨年、「Panasonic100周年ミレニアムイヤー」に、イタリアのミラノ・サローネでの大型展示でご協力させていただいたときの香りは、日本だけでなく世界中の人から好まれる香り、というテーマを持ち合わせていました。
世界188カ国から来場者が訪れ、展示会場はミラノのブレラ絵画館を貸し切るほどのスケールの大きな展示でしたので、地元の新聞などにも取り上げられました。このときに創った香りは、候補のアロマブレンドをミラノへ送り、現地法人でアンケート調査を実施していただき、ヨーロッパなどの地域の方の好みやご意見も加味して、香りをフィードバックしていただくことも行いました。
また野村不動産様が展開される「NOHGA HOTEL ueno」は、宿泊者の多くが海外の方ということもあり、日本の方だけでなく、世界から来られるお客様にとって心地よい、また喜んでいただけるような香りをデザインしました。同時にHOTELのコンセプト・テーマを引き立てることにも注力しています。

③アロマ調香の経験値を増やそう!

「石の上にも3年」ではありませんが、一見に華やかに見えるアロマ空間演出や法人企業様とのお仕事ですが、そこへ行き着くまでには10年以上の時間とたくさんの学びが必要でした。
私自身、アロマが好きになってから25年、アロマで独立してからは13年になりますが、本当に多くを学ばさせていただきました。解剖学、薬理学、臨床、アロマトリートメント……。これらすべてが、今のアロマ調香とアロマ空間演出に役立っていると思います。
こうしたベースがあることにより、現場での予期せぬトラブルに即時対応が出来たり、問題を未然に防ぐ提案なども行えるからです。実際にミラノでも大きな出来事がありましたが、それに対応できたのも、精油の特性を知っていること、また現地でのコミュニケーションや情報収集などによるものも大きかったと思います。
今、これらのノウハウを「アロマ調香デザイン学」として取り上げていただいますが、これが“新しいアロマの働き方”になればと思い、書籍を出版いたします。
また、2019年から「アロマ調香」と「アロマ空間演出」について、正しい知識と広いノウハウを提供できる”IAPA認定トレーナー”が誕生し、アロマ調香デザイナーの育成に従事しています。
これからも、より多くの方が香りの魅力に触れ、充実した生活や仕事の現場でも使用していただけることを願っています。

アロマ調香デザイナー講座 卒業生へのインタビュー

アロマ調香デザイナー講座を実際に受講した卒業生の声をお届けします。

  • 細越美華子さん
  • 関根加奈さん

Q1. アロマ調香デザイナーとして、活動が広がりましたか?

細越美華子さん
はい、個人向けサービスに加えて、ニーズが高まる法人企業へのアロマ空間演出の提案が出来ています。すでに複数の企業とお取り組みもさせていただいておりますが、この分野おいての専門的な知識とノウハウが活かせることにより、個人の枠を越えた仕事の幅が広がりました。

関根加奈さん
そうですね、一番はアロマの仕事や活動範囲が広がりました。以前と比べると、香りの相談を受けることが多くなり、パーソナルの香りもですが、特定の場所やシーンにおいて、目的に合わせた香りをどのように作ったらよいのか、という質問を受けることが多くなりました。 日常生活の中で、自分の好きな香りを自分で創れることは、本当に楽しいと思います。

インタビューの詳しい様子や、今回のテーマである「香りの組み立て方」に関する動画もぜひご覧ください(この動画は、2020年1月6日までの期間限定で公開いたします)。

今月のアロマ空間演出レシピ
秋の夜長をゆっくりと楽しむ香り

キーワード
秋、夜、読書、あたたかい、リラックス、安眠
レシピ
・オレンジスイート 25%
・マンダリン    15%
・ユズ       15%
・ラベンダー     5%
・ラヴィンツァラ  10%
・ヒノキ      10%
・パイン      15%
・フランキンセンス 5%

深まる秋の夜をゆっくりと読書や映画で楽しむ時間。インフルエンザも気になる時期ですので、抗菌作用のある香りをブレンドしています。入眠前のピローミストとしても。

Profile

齋藤智子さん
さいとう・ともこ アロマ調香デザイナー®。一般社団法人プラスアロマ協会代表理事。京都で十代続く家に生まれ、伝統的な香り文化に親しむ。一部上場企業勤務を経て、アロマの世界に入り、6,000種類以上のブレンドを制作。調香のプロを育成する傍ら、企業の香りブランディングやメディア掲載も多数。アロマブレンドの第一人者。

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