公益社団法人日本アロマ環境協会(以下、AEAJ)のアロマテラピーインストラクター、アロマセラピスト資格が2024年10月より大幅にリニューアルされました。アロマテラピーインストラクターやアロマセラピストを目指す方にとって、より柔軟で取り組みやすい制度へと進化しており、アロマ資格を目指す人にとって朗報といえるでしょう。
制度リニューアルのポイントとは? 新しく導入された「共通学科試験」の傾向と対策は?
資格取得までの流れや費用、カリキュラムの変化、受験者への影響やメリット・デメリット、そして資格制度リニューアルが、アロマテラピーを仕事にする人たちへもたらす意義、今後の展望などについて、『アロマテラピーインストラクター アロマセラピスト「共通学科試験」合格問題集』(5月27日小社刊)の著者・佐藤美恵さん(AEAJ認定アロマテラピーインストラクター)に伺いました。
取材・文◎本誌編集部
POINT!
リニューアルにより
▶︎アロマテラピーインストラクター資格取得・アロマセラピスト資格取得の必須履修証明書の提出がなくなり、時間・費用が抑えられるようになった!
▶︎アロマセラピスト資格取得において、再度筆記試験を受けることへの壁がとりのぞかれ、ハードルが下がった!
▶︎すでにアロマテラピーインストラクター資格を持っている人も、アロマセラピストへの道が身近になった!
▶︎アロマセラピスト資格取得に向けてのカルテ演習数が減り、資格取得がよりやさしくなった!
「共通学科試験」へ一本化 資格取得のハードルが下がる
アロマテラピーを仕事にしたい・施術へ取り入れたいと資格取得を志す人たちが歩む道としては、まずアロマテラピーアドバイザー資格を取得したのち、目指す方向性によって「アロマテラピーインストラクター(以下「インストラクター」)」と「アロマセラピスト」、それぞれの試験を受ける必要性がありました。
しかし今回の改定により、別々に行われていたインストラクター・アロマセラピスト、それぞれの学科試験が「共通学科試験」として統合、一本化されました(※)。
【新制度の流れ】
1)アロマテラピーアドバイザー資格を取得
2)共通学科試験に合格
3)希望に応じて以下のどちらかを目指す
・アロマテラピーインストラクター(要資格登録)
・アロマセラピスト(カルテ演習・実技試験あり。要資格登録)
この変更で学科試験が一元化されたことにより、資格取得のハードルが下がって、よりチャレンジしやすいものとなったのです。
同時にアロマセラピストが、インストラクター資格の上位資格と位置づけられがちなことも回避されています。
なお資格の認定には、インストラクター・アロマセラピストともに、それぞれ必要な試験で合格をしたのちに資格登録認定料10,450円(税込)が必要です。
共通学科試験に合格した人は、かならずインストラクター取得つまり登録をしなければいけない、ということではありません。共通学科試験に合格をしたのちにセラピスト実技試験に挑み、合格後にアロマセラピストのみの資格取得をしてもかまいません。
ただし、インストラクターとアロマセラピストと、2つの資格を持っていても年会費は変わりません。(初回資格登録時の登録料は、2つぶんそれぞれにかかります)
したがって、共通学科試験を合格した人は、ほぼインストラクター資格の登録をするでしょう。そういった意味では、インストラクター資格保持者が今までよりも多くなることが予測されます。
またアロマセラピストを受験するにあたって、インストラクター資格保持者が筆記試験を再度受ける必要がなくなったため、アロマセラピストの資格取得を視野に入れる人も増えるでしょう。
さらに、すでにインストラクター資格を持っている人(2024年以前に取得済みの人)は、共通学科試験を免除され、筆記試験を受けずにセラピストの受験ができます。
これらのことから、インストラクター・アロマセラピストともに、資格保持者の増加が見込まれ、アロマテラピーの世界は盛り上がりを見せることでしょう。
(※なお、2025年3月の試験は、移行期間として、新制度と旧制度のいずれかの選択制で実施されました。2026年3月に行われる試験から、新制度のみへ一本化されます)
インストラクター資格の必須履修が撤廃! 独学での挑戦も可能に
旧制度では、インストラクター資格取得のためには、AEAJ認定スクールへ通って学び、履修証明書を提出することが必須でした。しかしリニューアル後は、これが不要となりました。
スクールへ通わず、独学でチャレンジしたい人へも、広く門戸が開かれたのです。
独学のメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
・スクール受講費用(12~15万円)→ 不要に
・試験費用(5,236円)のみで受験可
・現役のセラピスト、忙しい社会人や子育て中、産前産後の方、近隣にスクールがない人などもチャレンジしやすくなる
ただし、インストラクター試験の難易度はやや上がっており、カリキュラムの中にそれまではなかった「骨格」「筋肉」のメカニズムが含まれ、学習する範囲がやや広がりました。逆にボランティア項目や疾病項目はなくなりました。
また試験時間も70問60分だったのが、80問65分となり、負荷が大きくなりました。
またアロマセラピスト資格取得は、カルテ演習などがあるため、独学は難しく、実際には履修する人が多くいると予測されます(履修証明書を提出する必要はありません)。
しかしながらやはり履修証明書の提出が必須でなくなったことは、受験者にとって大きなメリットといえるでしょう。
独学には、公式テキストのみならず、問題集を活用すると、より実戦に即した学習を進めることができるでしょう。
独学では、自分の学習の習熟度を把握することが大切です。なぜなら、どの分野をどの程度、習得できているか、注力すべき課題などを見える化することができ、対策をしやすくなるためです。
なお独学を進めていて不安な場合は、インストラクター資格対策講座を開いているスクールを探して受講を検討するのもひとつです。
より深く、実践的な学びへ アロマの世界を探求しよう
アロマセラピスト資格取得に関しても、筆記試験の負担が軽減されています。前述のように、共通学科試験に合格していれば、別途筆記試験を受ける必要がなくなりました。
さらに、カルテ演習の提出数も見直され、実技試験の準備もスムーズに進められるようになっています。
すでにインストラクター資格を持っている人(2024年以前に取得)も、共通試験の受験を経ることなくアロマセラピスト試験に進むことができます。
これにより、インストラクターからアロマセラピストへと進む方が、今後ますます増えていくことが予想されます。
共通学科試験では、精油の成分分析や香りと身体の関係、健康の基本など、より実践的な内容が問われるようになりました。
『アロマテラピーインストラクター アロマセラピスト「共通学科試験」合格問題集』は、問題は穴埋め方式となっており、解きながら暗記できるようになっています。繰り返し解くことで、自然と覚えていくことができるでしょう。
著者の佐藤美恵さんは、共通学科試験の内容について「アロマテラピーのより深い部分を知ることができて、実践的な学習内容になっています」と話し、「香りと身体の仕組みとの関係性や、健康の基本について、精油の成分分析などを知っていると、暮らしが豊かになることが満載です。香りにこんな効果があったのか! と驚くことも少なくありません。専門的な知識を得て新しいステージのドアを開いてみませんか」と微笑みます。
今回のリニューアルにより、アロマテラピーの資格はぐっと身近なものになりました。
香りの力を深く学び、日々の生活や仕事に活かせるアロマの知識を、この機会に手に入れてみてはいかがでしょうか?
5月27日発売!
『アロマテラピーインストラクター アロマセラピスト「共通学科試験」合格問題集』
佐藤美恵 著(BABジャパン刊)
サロン経営、家族の健康、香りに満たされた生活……
この資格で、あなたの世界が広がります!
アロマテラピーインストラクター、アロマセラピストの学科試験が共通に!
「暗記」にはやっぱり最適!赤シート付!
2024年、AEAJ が資格認定試験のシステム変更を発表しました。
これまで別々であった、アロマテラピーインストラクターとアロマセラピストの学科試験が共通になったのです。
共通学科試験を受ける受験生の総数は、まとまるため一気に増え、また試験内容もより難しくなったため、問題集は欠かせません!
アロマテラピーの知識が問題を解きながらしっかり身につく!!
仕事で! 家庭で! 趣味で!
植物の力を生活に取り入れる
好きなことを仕事にする第一歩に
著者プロフィール
佐藤美恵(さとう みえ)
AEAJ(公益社団法人日本アロマ環境協会)認定アロマテラピーインストラクター。アロマハンドセラピスト、アロマテラピーアドバイザー、ナチュラルビューティスタイリスト、環境カオリスト。アロマテラピー関連商品、オーガニック化粧品、フェアトレード商品の販売に10 年間携わったのち、2009 年より美容ライターとして活躍。現在は、ライターとして最新の情報を入手しながら、アロマテラピースクール「フォリア」を主宰。オンラインによるアロマテラピー資格対策講座も開講している。