一般社団法人プラスアロマ協会代表理事・齋藤智子さんに学ぶ
「アロマ調香デザイン学」のエッセンス

投稿日:2019年7月10日

第1回
「アロマ調香デザイン学とは?」

これまでアロマセラピストとして、アロマスクール、マッサージケア、香育など様々な活動の中で、6,000を超えるアロマ調香を行ってきた、一般社団法人プラスアロマ協会代表理事の齋藤智子さん。

特にこだわってきた「アロマ調香」、香りのブレンディングについての連載が、セラピスト2019年8月号よりスタートしました。誌面では全6回の連載を通じて、アロマ調香スタイリスト講座・デザイナー講座でお伝えしている「精油の選び方」「精油の組み合わせ方」「空間理解・空間認知」「コンセプトの可視化」「機能性とアート性」「道具の選定」といったエッセンスをご紹介していきます。

8月号本誌ではご紹介できなかったアロマ調香の事例をウェブにてお届けします。
文◎齋藤智子(一般社団法人プラスアロマ協会代表理事)

セラピスト誌で紹介!

精油一滴の大切さを感じた瞬間

初めまして、一般社団法人プラスアロマ協会代表理事の齋藤智子です。香り作りの中で私が実践をしてきた「アロマ調香」のポイントや「香りを使った空間演出」の実際の現場でのお話などを、本誌では全6回の連載でお伝えしていきます。どうぞよろしくお願いします。

現在は、アロマ調香デザイナーとして活動している私もまた、まずは自宅で楽しむために香りを組み合わせることから始めました。13年前によく作っていたのはオレンジスイート、ラベンダー、サンダルウッドというシンプルな組み合わせです。今のように手元にたくさんの種類の精油があったわけではなく、厳選して持っていたいくつかの精油の中から、組み合わせて香りを作っていました。でも、これが今に繋がるブレンドの始まりです。

私が調香をする際に大切にしていることが2つあります。
1つは、テクニックとなる「技」。そしてもう1つは、香りそのものである「素材」です。この「技と素材」をいかして、「香りを使った空間演出」を行ってきました。

まず、素材である精油に私が注目をするようになったきっかけのひとつは、北海道のオーガニックのラベンダー農家での収穫・蒸留作業に参加したことです。

山の斜面に広がるオーガニックのラベンダー畑は、よく見かける美しい紫のラベンダーが並ぶ写真とは違い、小さな木のようになったゴツゴツとした、素朴で力強いラベンダーが育つところでした(写真1、2)。花が開くと香りが揮発してしまうので、朝の5時前からの収穫作業です。そして、虫に囲まれた中で行う作業は農薬を使わない証。もちろん楽な作業ではないけれど、鎌で茎を切るたびに香るラベンダーのフレッシュな青い匂いはやっぱり癒される香りです。

  • 写真1
  • 写真2

一輪車いっぱいに収穫してきたラベンダーの花と茎(写真3)を選定して、すぐに蒸留釜へ。蒸留釜に入れ、しばらくして溢れ出てきた精油を見たときは、やはり感動しました。あんなにたくさんのラベンダーから1回の蒸留で採れる精油は、30㎖位(写真4)。

  • 写真3
  • 写真4

一滴の大切さを感じた瞬間です。採れたての精油の香りも、また特別なものです。農薬を使わない作業のご苦労、蒸留器や温度管理によって香りが変わる精油の繊細さ、そして、精油一滴の尊さ。それ以来、ボトルに入っている精油をより大切に使うようになりました。

精油は、産地、収穫年などによって、同じ種類でも香り、色、成分が違い、精油のボトルにはそれぞれの個性がぎゅっと詰まっています。

だからこそ私たちセラピストは、精油についての正しい知識を持つことが大切です。このことから、私たちの協会では、精油に触れ、体験することを重視し、講座の中で「100種類の精油の嗅ぎ分け」を実践しています。

次に精油をブレンドをするときには、素材となる精油の知識に加え、「技」にかかわる部分ですが、アート性、表現力などの知識を駆使し、クライアントが希望する香りに近づけていきます。その際には、数多くの香木を繊細に組み合わせたお香や練香を作り上げる室町時代から続く伝統の調合の技や配合もブレンドに応用しています。

「アロマ調香デザイン学」は、私がこれまでの多くの実践から、学んできたことを皆さんにお伝えするために、ノウハウをまとめたものです。

今月のアロマ空間演出レシピ
国産ラベンダーを使ったアロマレシピ

キーワード
夏の夜、良い眠りにつくための香り
レシピ
・レモン 3滴
・スイートオレンジ 3滴
・いよかん 5滴
・ラベンダー 3滴
・スギ 3滴
・サンダルウッド 3滴

レモン(広島)、いよかん(高知)、ラベンダー(北海道)、スギ(京都) 国産の精油を使って、和を感じる香りで組み立てました。 鎮静作用が高いラベンダー、スイートオレンジを組み合わせ、 深い呼吸を促すサンダルウッドで、スムーズな入眠へ。そして、年齢問わず、記憶のどこかにある和の香り。ゆったりとした夜をお楽しみください。

Profile

齋藤智子さん
さいとう・ともこ アロマ調香デザイナー®。一般社団法人プラスアロマ協会代表理事。京都で十代続く家に生まれ、伝統的な香り文化に親しむ。一部上場企業勤務を経て、アロマの世界に入り、6,000種類以上のブレンドを制作。調香のプロを育成する傍ら、企業の香りブランディングやメディア掲載も多数。アロマブレンドの第一人者。

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