メルヘン精油ブレンドレシピ 第11回『ウンディーネ』

投稿日:2019年7月31日 更新日:

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メルヘンをテーマに、絵本や児童文学の世界の香りを創造している「GREEN GRASS」主宰の豊泉真知子さん。全12回に渡り、セラピーライフで多数の童話をイメージした香りを制作してもらいます。


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ドイツ・ロマン派 代表的作家の一人、
フーケーの『ウンディーネ(Undine)』

フリードリヒ・ドゥ・ラ・モット・フーケー(1777年〜1843年)は、フランス系貴族の子として、フランス人の父とドイツ人の母から、ドイツのブランデンブルクで生まれました。

フーケーは成人するとプロシアの軍人となり、解放戦争に参加します。そして、ライン地方遠征の折、愛らしい少女に出会い結婚し、数年間は蜜のような日々を過ごします。しかし、二人は身分の違いなどで別れてしまいました。

退役後、フーケーはドイツの古い伝説を素材にして多くの作品を書きました。この少女との体験が色濃く重なっているのが、フーケーの代表作『ウンディーネ』です。アーサー・ラッカムの絵で、より幻想的な本になりました。

この『ウンディーネ』は、フーケー自身が脚色し、作家、作曲家として活躍したE.T.A.ホフマンによってオペラ化され、フランスの劇作家ジロドゥーによって劇化(『オンディーヌ』)されています。

“水の少女”を可憐なヒロインに配したこの物語は、フーケー自身の説明によると、十六世紀の医師であり錬金術師であったパラケルススの古い文献に典拠を得ているそうです。パラケルススの『妖精の書』には、四大精霊たちのことが記され、ラテン語の「Unda」(波の意味)に基づいて、水の精をウンディーナ「Undina」と名付けています。

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美しい湖の浜辺の小屋には、老いた漁夫とその妻、そして、水の精ウンディーネの3人が住んでいました。背後にはいくつもの恐ろしげな噂をまといつかせた鬱蒼とした森があり、この小屋に人が近づくことはありませんでした。

ある日のこと、漁夫は、その森で迷い、逃れてきた白い馬に乗る一人の騎士を家に招き入れます。漁夫は騎士に、15年前にやっと産まれた女の子が波にさらわれてしまい嘆き悲しんだこと、ところがその夜、水に濡れた幼女が突然現れたこと、その少女に洗礼を受けさせて少女が名乗る”ウンディーネ”と名付け、自分たちの娘の代わりに可愛がっていることを話しました。この、自由奔放で美しい少女ウンディーネに、騎士はすっかり魅了されてしまいました。

その後、川は荒れ狂う激流となり、森と小屋を切り裂きます。小屋は離れ小島になってしまい、騎士は戻ることが出来ません。森の中に住むウンディーネの叔父である水魔のキューレポルンとウンディーネが仕組んだことです。ある夜、司祭が波に流され小屋に辿り着くと、恋する二人は司祭に式を挙げてもらいました。

翌朝ウンディーネは、”父は水界の王で自分は水の娘であること、姿形は人に似ているが、人と違うのは魂がないこと。父の願いで人になることが出来、昨夜、魂を得たこと”。これら本当の話を騎士に告げました。騎士は、それでも変わらぬ愛を誓い、元に戻った森を抜け、ウンディーネを故郷に連れて行きました。

故郷で騎士を待っていたのが、ベルタルダという娘。この娘こそ老漁夫の実娘で、領主に拾われ養女として育てられていました。実の両親への恥知らずの言動で領主にも捨てられてしまいますが、ウンディーネの計らいで、騎士と3人で一緒に暮らすようになります。そのうちに、騎士は人間であるベルタルダに魅かれるようになり、ウンディーネを疎ましく思うようになりました。

ウンディーネを心配した水魔キューレポルンが騎士に悪さをしたので、ウンディーネは家の中庭の泉の口を石で塞ぎ、水魔が出られないようにします。ウンディーネは騎士に、「あなたの変わり身の早さに驚いていますが、水辺ではうかつなふるまいをつつしむように」と告げ、騎士はウンディーネへの自分の愛を感じました。ところが、愛に破れ漁夫の元へと去ろうとするベルタルダを、騎士は馬で追いかけてしまいます。ウンディーネも後を追い、森に迷い彷徨う2人を助け出します。そして、ウンディーネは水界の禁忌を騎士に告げました。水の近くでウンディーネを罵ってはいけないこと。もし罵ればウンディーネは水界へ戻ることになるが、残された騎士は決して再婚してはならない。もしも再婚すれば、その時は恐ろしいことになる、と。騎士はそんなことはしないと固く約束しました。

ある日のこと三人でドナウ下りをしていると、水魔キューレポルンが現れました。この時、つい、騎士はウンディーネを罵ってしまいます。ウンディーネは「操を守ってください」と言い残し、水底に消えてしまいました。嘆き悲しむ騎士も、日が経つ内にベルタルダと再婚を願うようになりました。婚礼の日、ベルタルダが泉の口の石をどけさせると、水の中からウンディーネが現れ、騎士の元へと向かい、掟通り愛を持って騎士の命を奪いました。ウンディーネもこの時、水底で死んでしまいましたが、騎士の顔は微笑んでいたそうです。

騎士のお墓の周りには、いつしか澄んだ小川の流れができ、墓を抱くように廻り泉に戻りました。今でもその泉は枯れずに残っているそうです。

『ウンディーネ』をイメージした自然香水を制作

『ウンディーネ』の香りイメージ

水の性質だけの精油でブレンドした、美しい水の精をイメージしたブルー色の、甘くフローラルな深い愛の香り。

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ナウ川流域の修道院、
ヴェルテンブルク修道院

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悲しみのウンディーネ

  • イメージ1)自由奔放なかわいいウンディーネ
    • いたずら好きで、無邪気な香り。バニラ、ベンゾインSiam
  • イメージ2)騎士の愛で魂を持ったウンディーネ
    • 愛を知り、優雅になっていく香りは貴婦人のよう。ローズ、ジャスミンAbs
  • イメージ3)愛の涙で騎士と共に果てるウンディーネ
    • 水底で果てた、究極の愛。イランイラン、ヤロウ、シストローズ、マージョラム

『ウンディーネ』のブレンドレシピ

~美しい水の精 悲しくも凛とした愛の香り~

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ドナウエッシンゲン。ドナウの始まり

ハートノート5滴:ローズ2、ジャスミンAbs.1、イランイラン1、クラリセージ1(愛の花たち)
ベースノート4滴:ヤロウ1(色は水の精、ブルーに仕上がる。「真心」が花言葉)、シストローズ1(不思議な樹脂の香り)、ベンゾインSiam1、バニラエクストラクト1(無邪気な甘さを)
ヘッドノート10滴:プチグレン2、オレンジ3、ブラッドオレンジ3(明るく晴れやかに)、マージョラム2(不安を拭ってくれます)
ニュアンサー1滴:フェンネル2

※ホホバオイルで作成。全体で5mlに。熟成は2ヶ月かかります。時々香りを確かめましょう。

参考文献)フーケー原作/アーサー・ラッカム絵/岸田理生訳『ウンディーネ』/新書館発行(1980年初版)/モニカ・ヴェルナー著『アロマテラピー実践事典』(東京堂出版)

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著者プロフィール

豊泉真知子(とよいずみまちこ)さん

アロマプランナ-、ドイツの精油タオアシス輸入総代理店GREEN GRASS主宰、ドイツの本の出版企画。ヒルデガルトの植物を学ぶ会代表。ドイツ・ヒルデガルトの旅を毎年7月企画。メルヘンと香り展開中。
取材協力◎GREEN GRASS TEL048-886-6613 http://www.egreengrass.com/

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