「自然治癒力」と「やる気スイッチ」

投稿日:

6年前から、小学生年代のサッカークラブに、指導者として携わっています。

今、教えているのは、この春3年生になった子供たち。
まだ身体が小さく、体力だけでなく技術やサッカーに対する気持ちにも、個人差がある世代です。

先月、2年生(当時)最後の行事として、親子サッカー大会を開催しました。
そこで、こんなことがありました。

4.11-1.jpg

普段はとても大人しく、試合中もなかなかボールを追いかけてくれない子がいるのですが、その日、相手チームにお母さんがいると分かると、今までに見たことがないような猛烈なチャージをしかけ、ボールを奪いにいったのです。

その子にとって、サッカーの練習や試合中に、初めて「やる気スイッチ」が入った瞬間でした。

それまでにも、あの手この手で、その子の「やる気スイッチ」を押そうとしました。
ところが、一向にそのスイッチは「オン」になりません。
もしかしたら、その子には「やる気スイッチ」がないのではないか……。

ところが、ちゃんと「やる気スイッチ」はあったのです。
ただ、指導者である自分が、そのスイッチを見つけられなかっただけなのだと……。

少年サッカーの指導者に求められることは多々、ありますが、低学年の指導者の場合、この「やる気スイッチ」を「オン」にすることも大きな役割の一つといえます。

ただ、そのスイッチを見つけることが難しく、そこが指導者の技術と経験の差にもなるわけです。
そのために、自分の引き出しを目一杯活用しなければならないのです。

セラピストにも、同じことが言えるのではないでしょうか?

少し前に、「治しと癒しの違いは、治しが第三者による医学的アプローチで実現するのに対し、癒しは本人の内部から起こる」という記事を読んだことがあります。
つまり、セラピストが人を癒すのではなく、その人自身の自然治癒力により自ら治癒するのであり、セラピストはそのサポートをしているにすぎないのです。

4.11-2.jpg
先日、あるアロマセラピストさんを取材していると、同じようなことをおっしゃっていました。

「セラピストの役割とは、その人のことを外から見て、必要な情報を与えてあげることなんですよ。その結果、その人自身の自然治癒力が癒しを起こすのですよ」

セラピストは、クライアントの自然治癒力が働くように、さまざまなセラピーを活用します。
1つひとつのセラピーは、あくまでも手段に過ぎませんが、自然治癒を起こすという目的のために、セラピストはたくさんの引き出しを用意しておくのです。

くだんの親子サッカーの場で、「こんなスイッチの入れ方があったのか!」と喜んだ私は、翌週の試合に所用で行くことができなかったため、その子がどんな様子だったのか知りたくて、試合に帯同した別のコーチにメールをしました。

数時間後に返った来た返信メールには、その日のチーム全体の報告と共に、次の一文がありました。

『親子サッカーで「やる気スイッチ」が入った○○君ですが、今日はどうやらそのスイッチを、家に置き忘れてきたようです──。この前は、きっと、お母さんが相手だったから、スイッチが入ったのかな?』

また、別の引き出しを用意しなければなりません……。

稲村

おすすめ記事

3つの制度

サロンにも不可欠!? 今知っておくべき「お金」と「制度」

こんにちは。 突然ですが皆さんはマイナンバーカードの申請はお済みですか? そう。9月末までに申し込むと、マイナポイントが …

「セラピスト6月号」本日発売! 見所は「ペットケア」「資格」「免疫力アップ」!

「セラピスト6月号」が本日発売となります。 今号の第1特集は、「検定&資格」を、選んで、学んで、活かす! セラピスト力の …

皆さまの参加をお待ちしています!「第3回セラピスト大交流会」申し込み受付中!

11月29日(金)・30日(土)に開催する「セラピーワールド東京2024」のメインステージで「第3回セラピスト大交流会」 …

新刊&新作DVD