【体験レポート】アレクサンダー・テクニーク/木野村朱美さん直伝

投稿日:2025年5月21日

ボディワークの一種である、アレクサンダー・テクニーク。
ダンサーや音楽家などが取り入れる身体理論……といったイメージが強かったのですが、発売中の『セラピスト6月号』で木野村朱美先生を取材して、目から鱗の連続でした。アレクサンダー・テクニークは、ごく端的に言えば、「身体感覚と身体構造のズレ」をすり合わせていくメソッドです。

しかし取材を経て、言葉でお伝えするのがなんと難しいメソッドだろうと実感しました。それほど、各自が脳で思い描いている「身体感覚のイメージ」は強力です。けれど、同じことを実際に「身体で体感」すると、なぜかストンと、劇的に理解できるのです。“身体の存在感の確かさ”とでも言えばよいでしょうか。
ちょうど今週、木野村先生が東京でWSを行われると聞きつけ、そんな体感型の身体理論であるアレクサンダー・テクニークの実践に、参加してきました!

今回は2人の参加者に混じっての参加です。お2人ともアレクサンダー・テクニーク体験者ということで、初体験は私だけ。どんな風に行われるのだろう……と少し緊張しましたが、先生の朗らかなトークで一気にフラットな空気となり、WSスタートです。

ここからは、私の個人的な体感で簡単にレポートしていきます。用語や工程が、正確な表現ではないかもしれませんが、皆さんもぜひ体感をイメージしながら読んでみてください。

大まかな、WSの5ステップ

❶自己紹介&今日の課題(お悩みごと)発表
❷悩みを説明しながら、状態を確認
❸身体構造の正しい理解
❹正しい構造イメージを、身体に馴染ませる
❺違いを体感する

 

❶自己紹介&今日の課題(お悩みごと)発表

私の悩みは、幼少期からずっと足裏に「土踏まず」がない、扁平足であること。身長に個人差があるように、1つの個性に過ぎないと思ってきましたが、最近になって「扁平足=アーチが崩れているだけ」という話を耳にする機会があり……長時間歩くと足裏が痛くなるため、治せるものなら治したいと思い始めました。また、日常的に力んでいるのか、気づけば肩が上がっていて肩凝り頭痛がひどいのも気になっています。

❷悩みを説明しながら、状態を確認

木野村先生から「なるほど。視力にはトラブルがないですか?」と、まったく異なる不調を言い当てられ、驚くことに!
実はここ3カ月ほど一気に視力が下がり、物がボンヤリと見づらいことが増えていました。そう答えると「もしかすると、足(そく)へのアプローチで、肩も視力も、全部つながっていて改善するかもしれませんね」と言われ、さらにビックリ。

❸身体構造の正しい理解

「まず、“くるぶし”の位置ってどこにあるか分かりますか。くるぶしを見ずに、どんなイメージか教えてください。内くるぶしと外くるぶしの高さは、前後は、それぞれどのようにイメージしていますか?」。
正直なところ、「くるぶしの前後差」を今まで考えたことがなく、衝撃でした。内と外とで一対になっており、どちらかが前で、どちかが後ろの可能性があるということ……??? 既に困惑しながらイメージしていた状態を伝えます。
・【高さ】内側が少し高い
・【前後】前後差があると考えたこともない
私はこちらでした。皆さんは、いかがです?

すると先生が取り出したのは、骨格模型。と言ってもよくある全身ではなく、バラバラのパーツです。脛に通っている「脛骨(けいこつ)」と「腓骨(ひこつ)」を用意し、それぞれの一番下にある骨の膨らみ部分がくるぶしだと教えてくれました。
私は二度ほどくるぶしを骨折したことがあり、病院でレントゲンも見たはずなのですが、なぜだかくるぶしが脛骨・腓骨という長い骨の先端にあるイメージがありませんでした。独立した球体型の骨をイメージしていたことに気づきます。そう言うと先生は、2本の骨を正しい位置に組み合わせ、内と外のくるぶしの位置を確認させてくれました。
正しい構造は、
・【高さ】内側が少し高い
・【前後】内側が少し前
でした!

「それでは指で触れてみてください。外くるぶしと、内くるぶし、それぞれ自分の指で触れてみましょう」。た、確かに……内くるぶしは少し高く、少し前目にありました。
「では次、外くるぶしの下に、指は何本入ると思いますか?」。正しくは4本が入るのですが、自分のイメージの中では「2本入るかどうか」でした。実際に触ってみてまた驚くのですが、本当に、ちゃんと指4本分の厚みがあるのです。
ここまでで既に、なぜか無意識のうちに「足裏はペタンコで、薄く平べったいもの」のイメージが、自分の中に定着していたことを自覚。どうしてそんなイメージが刷り込まれていたのでしょう。何度も目にしている自分の身体のはずなのに、不思議です。

他にも、
・腓骨は指1本よりも細い
・腓骨と脛骨の間には筋肉がある
・脛骨より後ろは骨ではなく、すべて筋肉
・「足の指」は指の股から先だけでなく、骨格上では足の甲のだいぶ奥まで
・「足の指」の付け根部分では、小指と薬指は縦に重なり合うようになっている
などなど、膝から下の構造を模型と自分の身体を使って、目視し触って教わりました。既にこれだけのイメージがズレていることが、本当に実感できました。ふと、初めて自動車を運転した時に感じた、「リアルの車体」と「イメージする車体」の差を思い出します。人の認識と知覚は、それほどズレを生じやすいのですね。……こんな間違いだらけのイメージで自分の身体を運転していたと思うと、ちょっと怖いくらいです。

❹正しい構造イメージを、身体に馴染ませる

構造を理解できたら、今度は床に足が着かない高さの椅子に座らされ、右足だけイメージを体感に移してもらいます。「足の力は抜いて良いですよ」と言いながら、先生は腓骨やくるぶしに触れながら、教わったばかりの正しい構造を意識するよう促します。
意識しようとすると、今度は「内くるぶしを高くしなくちゃ!」と筋肉を使って軌道修正しようとしてしまったようで、「力を入れなくて大丈夫です」と指摘されます。そこで目を瞑り、身体を動かすのでなく、とにかく「内くるぶしは、外くるぶしより上……上……」と心の内で言い聞かせるように唱えてみました。「そう、上手です」と言われてホッとすると同時に、なぜイメージしただけで動かしてないのに、先生には伝わるのだろうと不思議に感じます。
曰く、手のひらで骨や筋肉の動きを感じているのではなく、もっと直感的に伝わっているのだそうです。恐らく私たちの身体と心は、思っている以上に肉薄していて、そして内側にあるはずの意識や存在は、思っている以上に気配として外に伝播しているのだと思いました。

❺違いを体感する

誘導されながらイメージを馴染ませた後で、そっと足を床に下ろして立つと、そのフカフカさに驚きました。アプローチをした右足だけが、軽いのです。ゆっくり室内を歩いてみると、右足だけがフカフカとそれでいて安定し、左足はペタペタと粘土を打ち付けるように重たく、思わず笑いがこぼれてしまいました。今までペッタリと面で触れていた床が、今は足の外側に重点的に感じられます。かといって、重心が外側に移ったわけでもなく、半月形の型の上に立っているようなと言いますか、ただとても安定するのです。

右足だけ、わずかですが土踏まずが出現! 奥にある左足は、甲も薄く、床との隙間もない

「では止まって、左足で立つ感覚と、右足で立つ感覚で、目の見え方はどうですか?」。
目が? と疑問に思いながら、左の感覚を辿ってみると、モヤモヤと暗いというか、鈍いような。でも、いつもの見え方ではありました。そこで右の感覚を追ってみると、嘘みたいに突然視界がクリアなことが感じられたのです! 視力が上がるというよりも、解像度と明度が上がったような感覚です。
「なんで!?」と驚くばかりなのですが、木野村先生によれば「正しい構造が一番安定するので、土台がグラグラしなくなります。すると、脳も余計な不安や混乱が減れば、クリアになるのも自然だと思いませんか」と。腑に落ち過ぎて、もうこの正しい状態でずっといたい……!と、切実に思ってしまいました。

ーーー

長くなりましたが、2時間のWSの中で、想像以上に“自分の身体を正しくメンテナンス”できた感覚を得られました。
実は今回偶然にも、私以外の参加者お二方も「足」のお悩みを抱えての参加でした。Aさんは「歩き出しが不安定で、未舗装の道などではつまずきやすい」、Bさんは「愛用のメーカー以外の靴を購入してから、足に痛みがあり、歩き方にも違和感が出るように。もっと歩くことを楽しみたい」という課題を挙げていらっしゃいました。WSでは1人ひとり順番にアプローチいただいたのですが、状態は異なるはずなのに、結果的に同じように「足」の知識を学び、全員自分の解決の糸口を見出すことができました!

アレクサンダー・テクニークって、本当にすごい!
……ただ、編集者としてお恥ずかしいですが、これは本当に、体験いただくことが一番実感出来るメソッドでもあることを、改めて痛感しました。本誌最新号でも極力分かりやすくご紹介したつもりでしたが、機会があれば、ぜひ皆さんにも触れて知っていただきたいなと思いました。

 

ご興味のある方がもしいらっしゃればと、直近ですが、木野村朱美先生のWSをご紹介しておきますね!

◆ 2025年 5月24日(土)・25日(日)/京都教室

【身体の土台、脚・足を育てる】10:00〜17:00
↑偶然にも、「足」のWSです!

◆ 2025年 6月1日(日) /神奈川(横浜駅 徒歩2分)

◆ 2025年 6月7日(土) /東京(高田馬場 徒歩2分)

【個人レッスン】9:10~ 9:50
【グループレッスン】10:00~12:20

関東講座のお申込みは、以下フォームより
https://ws.formzu.net/sfgen/S9876560/

▼いずれの講座もお問合せ先はこちらです。
株式会社Aru Quality Pro事務局
TEL:075-541-5113
https://at-aqp.com/

編集部T

୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

セラピーのチカラ、セラピストのハートを伝える
『セラピスト』誌のSNS&展示会情報をCHECK♡

■公式LINE「セラピストWORLD」
お友達登録で、告知やクーポンなどのお得情報を受け取れます!

■各種SNSはコチラから
編集部の舞台裏、発見、最旬情報をお届け中!

■「セラピーワールド東京 2025」〜セラピーライフスタイル総合展〜
出展ブース、セミナー、体験イベントの最新情報はこちら!

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧

おすすめ記事

新刊書籍「美鼻革命」が、2つの書店で週間ランキング第1位を獲得!!

7月22日に発売した新刊書籍「手技で鼻を高くする 美鼻革命」(天野由紀子著)が、ブックファースト新宿店と有隣堂アトレ恵比 …

情報を自分でつかんで、より快適に過ごす大切さ

こんばんは! 気づけばもう、12月の半ばですね。この時期はクリスマスケーキの予約やサンタさん業務、年賀状の準備など……、 …
no image

9月7日発売「セラピスト10月号」フォトギャラリー

9月7日発売「セラピスト10月号」より、おすすめ記事を写真と共にご紹介します! 第二特集「カラーセラピー」の中のオーラソ …

新刊&新作DVD