アロマセラピストと調香師がすすめる「和精油ブレンドレシピ」(セラピスト4月号連動記事)

投稿日:2018年3月7日

セラピスト4月号の第1特集では、和精油を使った様々なブレンドレシピを紹介しています。ここでは、アロマセラピストと調香師が、その魅力とレシピを紹介します。

構成◎セラピスト編集部

 

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沼内美加子さん
アロマとハーブのスクール&ショップ「ベルナデッタ」代表

和精油の魅力とは?

初めて手にした和精油はクロモジでしたが、その香りを嗅いだとき、有無言わずにしっくりとくる、深呼吸したくなる感覚を覚えました。
日本の風土で生まれ育ち、生活の中で昔から使われてきた香りは、生きる知恵でもあったといいますから、いつまでも嗅いでいたくなる懐かしく優しい香りはDNAの記憶に刻まれているのかもしれません。
また、青森ヒバ精油は建築材料などの生産過程で出る端材をオガ粉にして使用し、蒸留後は畜舎の敷料などに利用されていますが、ヒバに限らず、和精油は自然の恵みを無駄にしないという日本人の昔から受け継がれてきた精神と、地域産業の発展を願う人々に支えられているということも魅力の一つだと思います。

「和精油」と「和精油」のおすすめブレンド

ゆず……10滴
しょうが……2滴
ハッカ……1滴
七戸ラベンダー……2滴
クロモジ……5滴

青森クロモジの香りは奥行きがあり、それ一つで十分完成されていると感じるので、その力を借りるとどんなブレンドも比較的きれいにまとまるようです。
また、七戸ラベンダーはヤマセに耐え忍んだ力強さを感じる香りで、低血圧気味の女性たちにも好まれています。
この和の精油ブレンドは、七戸ラベンダーや柚子の甘さと穏やかさの中に、日本ハッカとショウガの仄かにピリッとする爽快感、これをクロモジ精油がまとめてくれています。
高ぶった気持ちをクールダウンし、精神的疲労を感じる時に使っていただきたいブレンドです。

プロフィール

日本アロマコーディネーター協会(JAA)認定インストラクター、ハンドトリートメント検定講師、AHR(アロマハンドリラックス)、AFR(アロマフェイシャルリラックス)、介護アロマコーディネーター。日本アロマ蒸留協会 キッチン蒸留ATRマスターアドバイザーPro。日本アロマ膝ケア協会 アロマ膝ケアコーディネーター。
アロマとハーブのスクール&ショップ「ベルナデッタ」代表として、自宅サロン&スクール、高齢者施設、短大での特別講義、アロマクラフト出張講座などを行っている。
https://aroma-bernadette.jimdo.com

 

File.02
宮地一美さん
鎌倉RoseCoeurロゼクール代表

和精油の魅力とは?

香りがとても優しいと思います。丸みがあります。尖った感じがしないのが好きです。
植物もイメージがしやすく産地や蒸留している方の背景が身近に感じ取ることができます。成分だけではない土地の持つエネルギー、水、波動などがその植物の成長に深くかかわっているのだと思います。
自分で蒸留しようとしたきっかけは、香りが持つ人の記憶です。植物が持っている記憶が香りと共に私たちのカラダの中に刻まれている宇宙のリズムと共鳴するのかもしれません。
そのため、国産精油は受け取り方も優しく感じ取れるのでしょうか。身近な香り、寄り添っていて欲しい香りとでも表現してもいいのかもしれません。
教室や講座で初めての人でも抵抗がなく香りを楽しめ、土地や思い出など香りから得るコミュニケーションが増えるのも国産精油の良いところですね。

「和精油」と「和精油」のおすすめブレンド

月桃……2滴
柚子……2滴
姫小松……2滴
鎌倉RoseCoeur「すぎ」…1滴

甘みのある和らかな香りです。外国精油と違って国産精油の持つ奥ゆかしくまろみのある香りで甘すぎないブレンドです。
カラダの中から温めてくれます。そーっと包み込んでくれる優しい香りをいつまでもクンクンしていたくなるのは、姫小松と月桃の女子力をサポートしてくれる働きから魅かれてしまうのだと思います。
鎌倉杉は樹木部分の抽出が多いので優しい香りです。ブレンドに使用するとより一層、和らか香りになり、長く香りが残り楽しめます。
今年のように寒さが厳しく、知らず知らずのうちに冷えてガチガチに縮こまったカラダは、春に背伸びをするときに自分の蓄えていたチカラが足りないと、バランスを崩しがちになります。
春を迎える前にこのブレンドオイルを使って寝る前にデコルテ、ボディートリートメントをおすすめします。カラダの中からゆるめ整えてくれ、ぐっすり眠りにもつくことができます。美肌にも良いでしょう。

プロフィール

日本アロマコーディーネーター協会インストラクター、ジャパニーズアロマ、ハンドトレーナー。一般社団法人サードメディスンプロジェクト認定アドバイザー。
鎌倉RoseCoeurロゼクール代表。自身のサロン&スクールの他、社会福祉協議会老人福祉センターや高齢者施設、ヨガスタジオでアロマの講座を受け持つ。また企業、各種団体でアロマセラピー講座・講師活動、オリジナル精油製造販売、中古車販売業者とコラボで車内用抗酸化アロマ商品販売、他業種コラボでアロマ商品を開発中。
http://www.rose-coeur.com

 

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小林摩希さん
アロマステーション凛々香代表

和精油の魅力とは?

日本の精油の魅力は、何といってもその香りが優しく日本人の身体と心に沁みわたってくれることです。まさにDNAが知っているという感じです。
初めてその香りを店頭で試した時、しばらく時を忘れてうっとりしてしまったほどです。年齢・性別問わず受け入れられやすいので、様々なお客様にご提案しやすいです。
男性アスリートをケアさせて頂く機会が多いのですが、皆さん香りを気に入って下さいます。
また古来より日本は、季節の行事や日々の生活の中で植物とともに歴史を刻んできました。その植物を精油にして我々が使っていくことで、形は変わっても次世代へ日本の文化、日本が大切にしてきたことを引き継いでいくことができれば、その魅力もさらに大きくなると感じています。

「和精油」と「和精油」のおすすめブレンド

ミズメザクラ……5滴
クロモジ……3滴
レモン……4滴

筋肉への作用が圧倒的なミズメザクラは、アスリートケアには欠かせない精油です。しっかりと働いてくれる分、強さもありますので、全身トリートメントの際は他の精油とブレンドして香りも成分もやわらげてあげるようにしています。
私が持っている資格であるyuicaスペシャリストは、精油抽出の現場に入ることができるのですが、その際に抽出ご担当の方に「ミズメザクラとクロモジを同時に抽出しているときは、とても良い香りになるのでオススメです!」と教えていただき、以来、よくブレンドしています。
作用の面でも、鎮静系の相乗効果でよく眠れるようになると好評で、きつい練習や試合の後に重宝します。柑橘系を足すとリフレッシュになり、気持ちの切り替えにも役立ちます。

プロフィール

yuica日本産精油スペシャリスト。アスリートアロマトレーナー。
アロマステーション凛々香のオーナーセラピスト兼講師として、出張、仮店舗にて営業。また、JR東日本ラグビー部専属ケアスタッフとしても活躍している。
http://www.aroma-japanese.com

 

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太田奈月さん
アクトインターナショナルスクール学校長

和精油の魅力とは?

私たち日本人が懐かしいと感じる和の香りは、イギリスやフランスに行くと「スタイリッシュ」「ミステリアス」「モダン」などと表現されるように、育った環境によって香りの感じ方はずいぶん異なります。
私たちが生まれ育った大地を感じる和の香りは、日本人のDNAに響きます。そして「懐かしい」と感じたとき、まさに「懐かしい」を上回る癒し効果を発揮します。

「和精油」と「和精油」のおすすめブレンド

アロマパルファン精油……0.95㎖
アルコール……10㎖(約10%)
ハッカ……0.05㎖(トップノート)
ホーウッド(芳樟の木)……0.4㎖(ミドルノート)
ヒノキ……0.4㎖(ベースノート)
ビャクダン……0.1㎖(ベースノート)

和精油ブレンドのテーマは、潜在意識の目覚めです。自分の中に眠っている能力を引き出すときに、頭上にシュッと吹いてみてください。
ホーウッド(芳樟の木)、ヒノキ、ビャクダンの深い部分にアプローチする香りに1滴だけ加えたハッカが、脳の深層部に眠る潜在意識の能力を引き出してくれるイメージのブレンドです。
人生の中で積み上げてきた年輪に刻まれた経験が、ハッカの香りで呼び起こされます。

プロフィール

IFA国際アロマセラピスト。アクトインターナショナルスクール学校長。調香師。天然アロマ香水「アロマパルファン」第一人者として幅広く活躍している。
http://www.ais-tokyo.com

 

File.05
下川路さやかさん
キャラアロマテラピースクール講師

和精油の魅力とは?

アスリートのケアを行う中で、男性やアロマが初めての人、そしてメンタル面や過酷な練習で疲れ切った選手のケアに入ることが多いのですが、アロマテラピーに慣れていない方や香りに対する固定観念のある方には、西洋の精油の香りがきついと敬遠される場合があります。
そんな時に日本産精油を香ってもらうと、これなら大丈夫ですとほぼ受け入れて頂けます。
アロマテラピーに抵抗感のある人の壁をくずしてくれる香り、それはやはり日本人としてなじみがあり、受け入れやすく親しみを感じる香りのおかげであると感じています。
私自身も日常的に良く使い、自分のコンディションによって求めている香りは和精油の場合が多くあります。

「和精油」と「外国精油」のおすすめブレンド

※部位向けトリートメントオイルに
ミズメザクラ……1滴
カモミール・ローマン……1滴

練習中に肘脱臼で故障し、リハビリ中の某パラリンピック選手の片腕のケアに使用したブレンドです。
肘の脱臼に伴い関節周辺の筋肉が硬くなっていました。
筋肉を柔らかくする作用のミズメザクラを使いたい、と提案したところ「ミズメザクラの香りが苦手」とのこと。
ミズメザクラ独特の香りを緩和するために同じ成分のエステル系を含み、ミズメザクラの香りにも負けない強さを持ち、同じ鎮静作用のあるカモミール・ローマンをブレンドに採用しました。
選手からは「ミズメザクラの香りを感じない、いい香りになっていますね!」と驚かれました。ケアは硬くなった筋肉へのアプローチを行い、手首や肘の関節の可動域が広くなった!と喜んでいただけました。

プロフィール

yuica認定日本産精油スペシャリスト/インタープリター。英国IFA認定セラピスト/プリンシパルティーチャー、AEAJ認定アロマセラピスト/アロマテラピーインストラクター。
キャラアロマテラピースクール講師として、またアスリートアロマコンディショニングラボにて、スポーツ選手のケアを行う。
https://cara-club.com

 

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見谷貴代さん
アイグレーLLC副代表

和精油の魅力とは?

和精油の魅力は日本人の記憶に語りかけるところです。日本人の暮らしにとても密着している香りですので、香りがきっかけで記憶の引き出しが開くことがよくあります。
認知症の患者さんが、香りがきっかけで楽しかった昔を思い出し、会話が弾む光景がよくみられます。
今まで15年間にわたり、病院や高齢者施設でアロマを提供してきたなかで、最初はラベンダーやユーカリなどアロマの基本となる西洋の香りを使っていました。ところが思っていたよりも高齢者の受けがよくなく、何か良いものがないか探していました。
ちょうどその頃に和精油が生産され始め、手に入りやすくなったので和精油を使ってみましたところ、高齢者の香りの反応が各段によくなったのです。それから和精油は手放せなくなっています。

「和精油」と「外国精油」のおすすめブレンド

青森ヒバ……3滴
レモン……4滴

9年間、介護ケアに関わってきた経験から得た介護アロマのノウハウを、介護士や介護中のご家族に講座で教えています。
講座で一番、求められているのは、介護ストレスになる「臭い」の問題です。様々な精油を試してみた結果、ニオイ対策では樹木系の精油が効果を発揮しました。
樹木系で最も好評だったのが「ヒバ」です。ヒノキチオールによる殺菌作用が臭いの元となる細菌を抑制するだけでなく、雑菌による悪臭も抑えるからだと思われます。
ヒバの中でも最もヒノキチオールが多いと言われる「青森ヒバ」をベースに、介護で疲れているご家族の疲れを取る目的でリフレッシュ効果の高い「レモン」をブレンドしました。ヒバの消臭効果とレモンのリフレッシュ効果で、臭いも疲れも吹き飛びます。

プロフィール

公益社団法人日本アロマ環境協会アロマテラピーインストラクター。公益社団法人日本アロマ環境協会アロマセラピスト。
看護師、アイグレーLLC副代表。病院、介護施設に勤務しながら、神戸薬科大学などでの非常勤講師、カルチャーセンターでアロマの講師を務める。
https://infoaegle.wixsite.com/touch

 

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鈴木希さん
自然療法の国際総合学院IMSI講師

和精油の魅力とは?

国土の7割近くが森林といわれる日本は、水も綺麗でとても豊かな自然環境があります。外国精油に引けをとらない素晴らしい芳香植物があり、近年、その生産が増えています。
自然を守るための取り組みに貢献できること、外国産にはない芳香植物を楽しめること、そして海外に発信できる素晴らしい文化になり得ることが和の精油の魅力ではないでしょうか。
香りを愛する伝統は日本にも古くからあり、独自の発展を遂げ、「お香」の世界を作っています。
目には見えない芳香を楽しみ、進化させることができる日本人の発想力と芸術を楽しむ心が、これからも益々、和の精油を世界に伝えていくパワーになると思います。

「和精油」と「外国精油」のおすすめブレンド

月桃……1滴
ゼラニウム……2滴
レモン……2滴
サンダルウッド……1滴

月桃や、たいりん月桃は、日本産の精油の中でも南端に位置するエリアに生息し、南国を思わせるような濃厚な香りが特徴です。
女性の情緒的な気持ちを掻き立てるような、その香りの特徴を活かすため、外国精油の中でも、深い落ち着きをもたらすサンダルウッドと、女性の心を慰めてくれる香りの印象を持つゼラニウムを組み合わせることで、内に秘めた美しさを表現してみました。
レモンを加えることで、たいりん月桃の持つフルーティさと合い、ブレンドに爽やかさをもたらしてくれます。女性らしさを感じたいときの芳香浴や沐浴や美容の目的でフェイシャルトリートメントに使うこともお勧めできるブレンドです。

プロフィール

IFPA認定アロマセラピスト。自然療法の国際総合学院IMSI講師。セラピスト、講師活動やブログを通して、世界のアロマセラピーを発信している。
http://www.imsi.co.jp

 

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津田啓一郎さん
生活の木チーフアロマブレンダー

和精油の魅力とは?

日本の和精油は「High antibacterial(抗菌性の高い)」なものが多いと言われます。
植物が発する何らかの成分(香気成分も含む)は、根を張らせる地理と気候に順応するための「自己防衛反応」だったり「種の生存」のため。これはそこに住む人の放つオーラや雰囲気、処世術みたいなものとも共通しているような気もします。
和精油の潔癖な印象は香りも同様、澄んでいて静か。一定の湿度を伴い、楽しさや華やかさを欠いた、専念された古風さが特徴です。
古き良き日本を思い起こさせるとともに、真面目でひたむきに役割を果たす日本人らしさが投影されている、そんな印象を宿す和精油たちを、ブレンドの一素材として使ってみてください。
同じクスノキ科でもシソ科でも、日本固有の香気組成を持つため、ブレンドした時、面白いパフォーマンスを発揮します。
私たちの身体・意識の中に流れる、目には見えない「感覚」=ルーツの部分が刺激され、すっと心情に浸透すると思います。

「和精油」と「外国精油」のおすすめブレンド

ネロリ……3滴
ライム……1滴
レモンバーベナ……1滴
ヒソップ……1滴
紫蘇(シソ)……1滴
ペパーミント……1滴

例えば柚子やひのきを使うと、比較的どんな西洋ハーブやシトラスとも相性が良いでしょう。ただ相性が良い=他の外国精油のブレンドに埋もれてしまう。とも取れます。
そこはあえて、和精油が入っていると主張ができるものとして「紫蘇(シソ)」を選びます。
紫蘇オイルは食品系フレーバーに使用されることが多いですが、今回は紫蘇(大葉)のリーフ感、シャープでサワーな特徴を活かすブレンドにしました。
朝の沐浴、または陽の光がたくさん入る場所でのトリートメントや瞑想の時間に嗅ぐわせたくなる、浄化系クリアハーブの香りです。

プロフィール

20代より装飾装花の仕事に携わり、国内で調香を学ぶ。フランスの調香師育成校にて本場の調香を勉強後、生活の木のチーフアロマブレンダー(調香師)になる。
https://www.treeoflife.co.jp/library/aromablendlab/

 

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