【10月号特集連動記事】鳥取大学医学部教授 浦上克哉氏が語った「認知症予防とアロマセラピー」。セラピストが活かすには。

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現在発売中の雑誌「セラピスト10月号」では、第1特集に「セラピストのための『認知症ケアの教科書』」を掲載しています。認知症ケアに効果的とされる方法には、さまざまなものがあり、誌面では紹介しきれなかった情報も多くありました。そんな中から、2019年6月23日(日)に、特定非営利活動法人ジャパンハーブソサエティーが主催し東京・渋谷区の東京ウィメンズプラザ ホールで開催された、「認知症予防とアロマセラピー」と題したセミナーの取材からいくつか紹介します。
取材・文◎本誌編集部

セラピスト10月号連動

積極的で密な関係が早期発見に役立つ

 今回のセミナーは、認知症予防研究の第一人者である、鳥取大学医学部教授の浦上克哉氏が、認知症について、またその予防にアロマセラピーが有効であることなどについて語りました。

 講演では、認知症についての基礎知識やよくある誤解が紹介され、単なる老化による「もの忘れ」ではなく、病気であり予防が可能なことが解説・紹介されました。

 講演の中で、診察室の様子を再現した短い動画が再生され、参加者に「はたして、今見ていただいたお婆さんは認知症でしょうか?」との質問が投げかけられました。

 お婆さんと医師とは自然な会話が成り立っており、医師の質問に次々と答えていくお婆さん。その様子を見たセミナー参加者は、多くが「正常(認知症ではない)」との答えでした。しかし、動画の後半が再生されるとその印象が変わります。

 一緒に来ていた家族が、お婆さんの回答内容が事実と異なっていることを指摘することで、はじめて先の答えが正しい記憶でなかったことが分かったのです。

 この点を浦上氏も取り上げ、認知症患者の周囲の人たちが積極的に関わることで、早期発見の助けとなることや、認知症患者本人と医師だけでのやり取りでは早期発見が難しいことなどが紹介されました。

 この周囲の人たちの1人として、家族以外でもセラピストが積極的に関わっていくことができるのではないでしょうか。

“3つの予防”それぞれでセラピストが活躍できる

 予防には大きく3つの段階がありますが、一般的に「予防」という言葉からイメージされるのは「病気の発症を防ぐ」第1次予防だと思います。ですが、その他に「病気の早期発見・早期治療と早期対応をする」第2次予防と「病気の進行を防ぐ」第3次予防というアプローチも「予防」であることが紹介されました。

 第1次予防から第3次予防までのそれぞれの段階で、セラピストが活躍している、また活躍できる場が多くあります。本誌(セラピスト10月号)でもいくつかのケア方法を紹介していますが、浦上氏も講演内で「本人視点のケア」の大切さを語っていました。

 つい「認知症患者はさまざまなことができない」と周りの人が判断して、本人に代わって先回りで対処してしまうことがありますが、認知症患者にも意思があり、その意思が尊重されないことはストレスになります。また本人が出来ることまで他者がやってしまうことで活動の機会が減るなどして、結果的に認知症の進行を早めてしまうこともあるといいます。

 認知症患者の「本人視点」を忘れずに、医療とは違ったアプローチで、セラピストとして活躍することがのぞまれています。

認知症予防とアロマテラピー

 そして、興味関心の高い方が多い分野「アロマテラピー」について、浦上氏は医学的観点からも効果があると語っていました。

 認知症の中でも特に多い「アルツハイマー型」の特徴として、初期段階から嗅覚機能が低下することが紹介されました。

そこにアロマが有効に働きかけるのだといいます。

 有効なアロマオイルとして「ローズマリー・カンファーとレモン」「真正ラベンダーとオレンジ・スイート」が紹介されました。

 これらのアロマは、それぞれ目的が異なり使用を推奨する時間帯が違います。「ローズマリー・カンファーとレモン」は昼間の時間帯に使い、神経細胞を活性化させて認知機能の改善を促す効果が。また、「真正ラベンダーとオレンジ・スイート」は夜の時間帯に使い、睡眠の質を改善させて神経細胞の回復を促す効果があるといいます。

 さらに、ローズマリー系のアロマオイルには3つのケモタイプがある中で、他の「ローズマリー・シネオール」や「ローズマリー・ベルベノン」ではなく「ローズマリー・カンファー」が認知症に対しての有効性が確認されていることも紹介されました。

 そして、これらのアロマについては医学的なエビデンスを得ており、人によって違う「香りの好み」としてではなく、「認知症に対する医学的効果」として紹介しています。

 そして、意外だったのが、嗅覚機能が低下して「匂いが分からなくても効果がある」ということ。

 アロマを含む「匂い(香り)」というのは、嗅神経を刺激する化学物質が空気中を浮遊してきて嗅神経に触れることで感知するものです。なので、その原理上「匂い(香り)」として認識していなくても化学物質が嗅神経に触れるのです。そのことで「匂い(香り)」として認識するかどうかに関わらず神経に刺激を与え、活性化したり沈静化したりという反応は起こるというのです。

 セラピストとして、どの症状に対してどのアロマが効果的なのか、正しい知識を身に付けて、医療行為ではない形での認知症ケアに役立て、活用していけると良いですね。

Profile

浦上克哉(うらかみかつや)鳥取大学医学部保健学科生体制御学講座環境保健学分野・教授 岡山市生まれ。1983年鳥取大学医学部卒業後、神経内科を専門に携わり、2001年より鳥取大学医学部保健学科生体制御学講座・環境保健学分野・教授を務める。 日本認知症予防学会理事長、日本老年精神医学会理事、日本認知症予防学会専門医。アルツハイマー型認知症および関連疾患を専門とし、診断マーカーの開発研究、外来での診察と治療、予防、ケアなど総合的に認知症と取り組む。

また、認知症早期発見のためのタッチパネル式コンピューター「物忘れ相談プログラム」などの機器の開発、アロマによる認知症の予防効果の研究、NHK「あさいち」「チョイス」「きょうの健康」「たけしの家庭の医学」「主治医が見つかる診療所」等テレビ番組にも多数出演し、幅広く精力的に啓発活動を行っている。

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