「チネイザンセラピスト・Yukiさん<セブ島紀行>」
祈りも自然の力も活かす伝統療法とは

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2025年夏、セラピー体験を求めて、家族でフィリピン・セブ島に旅したのは、チネイザンセラピストのYukiさん『セラピスト2025年10月号』で寄稿いただいた特別企画「世界の癒しを見つけ、学び、活かす」でも、インド、タイ、台湾、バリなどを巡り、自分に必要なメソッドをどのように見つけ、吸収し、オリジナルのメニューを確立していくのかを紹介いただきました。
本誌のアザーストーリーとして今回特別に、WEB限定のYukiさん書き下ろし記事として、「最新のセブ島・セラピー修行のレポート」をご紹介します! セラピスト視点での、セブ島のリアルな手技や文化の今に触れてみてください。
文・写真◎Yuki
構成◎本誌編集部

セラピスト2025年10月号をチェック!

現在のセブ島は、韓国テイスト!?

リゾート地として誰もが一度は耳にしたことがあるでしょう、フィリピンの「セブ島」。一時期、短期留学の場所としてとても人気がありましたが今はどうなのでしょう? 周りではあまりセブ島に行ってきた、という話を聴かなくなってしまっていましたが、今回、私はセブ島でも受けられるフィリピン伝統のヒロットマッサージとセブ島で独自にやられているオリジナルのセラピーを受けに、セブ島を旅してきました!

家族一緒にセラピー体験が、Yukiさんのスタイル

まず、セブ島に降り立ってびっくりしたのが韓国人観光客の多さでした。どこを見渡しても韓国人や韓国料理のレストランばかり。今は韓国の資本がかなり入り、日本人の留学生よりも韓国人の方が圧倒的に多いらしく、街には韓国人の家族連れや学生達が溢れていました。これには本当にびっくりでした!

 

伝統療法「ヒロット」を擁する、SPA天国

今回、私がセブ島を旅してみようと思ったのは、SPAの豊富さと価格の安さです。日本の半分ほどの価格で受けられるため、色々なSPAをはしごできるのもその魅力でした。SPAにはさまざまなメニューがありますが、その中でも外せなかったのは、ヒロットです。ヒロットはご存じの方も多いかと思いますが、フィリピンに古くから伝わる伝統療法で、手技によるマッサージや骨格の調整、薬草やココナツオイル、さらには祈りや自然の力を取り入れた、心身のバランスを整える施術です。

家族3人でマッサージを受けられるスパにて。大人はヒロットを、子どもはキッズマッサージを

5世紀に誕生したとされるヒロットは、神の力が施術者の手を通して伝わり、その手で触れることで癒し、自然治癒力を高める“神の贈り物”の療法として、特別な家系の人々に受け継がれてきました。現代のヒロットはリラクゼーションの要素を加えたトリートメント療法として、身体を温めるココナッツオイル「神の果物」やバナナの皮を取り入れ、10本の指を使ったダイナミックなリズムの手技を用いるのが特徴です。

施術に使用するバナナの葉

特徴的なのは、バナナの葉やオイルを使った診断と施術で、体内の滞りや「冷え(lamig)」を見極め、流れを改善していきます。
本来は地域の民間療法家「マンギヒロット」が家庭や村で行っていた技法で、ケガの手当てや妊娠・産後ケア、日常の不調改善など幅広く活用されてきました。
近年ではスパでも体験できるようになり、リラクゼーション効果だけでなく、伝統的な知恵が詰まったメソッドとして注目を集めています。

施術に使うオイルと、バナナの葉を温めるためのキャンドル

ヒロットの施術は、オイルを塗って火で温めたバナナの葉っぱを身体に貼るのですが、【冷えや滞り(lamig)がある部分 → バナナの葉が張りつく/止まる、滞りのないスムーズな部分 → 葉がスルッとはがれる/滑る】ということで、私の結果はどうだったかというと……

家族で一緒に施術中。葉っぱには以外とたっぷりのオイルが塗られているのが分かる

このような感じになりました!
日本では、バナナの葉っぱを手に入れること自体が難しいので、本当に南国独特の文化で発展した施術だなあといつも感心します。

 

〝ここでしか受けられない〟に魅せられて

つづいて私が興味を持った施術は、Amuma Traditional Filipino Massage Hilot【アムマトラディショナルフィリピーノマッサージヒロット】。
トゥオブ(足湯)、ヒングットアン(頭と肩のマッサージ)、カッピングとグアシャによる温めたTuba-tubaの葉(地元のハーブの葉)を体験して、体内の毒素を排出できる全身トリートメントというもの。こちらはヒロットとアーユルヴェーダを融合させたマッサージにカッピングとカッサと、さらにはツナトゥバという地元独特のハーブの葉っぱを乗せた施術で、ここでしか受けられないため、とても興味を引きました。

手のひらよりも大きなTuba-tubaの葉

Tuba-tubaの葉は、フィリピンで、トウダイグサ科の植物「ヤトロファ・クルカス(Jatropha curcas)」 を指すとのことです。現地では、ヒロットや民間療法で「痛み止め」「炎症を和らげる」などの目的で葉を温湿布のように使うとのことで、やはりここでもオイルを塗って火をつけてあぶってから背中に乗せてもらいました。

施術道具たち。ここでもキャンドルの直火を使う

ぴったりと塗ってもらって、それをはがして、またカッサやカッピングを施します。マッサージ自体はバリニーズトリートメントとストロークがとても似ていました。この施術自体は、薬草効果もあり、長時間の飛行機の疲れが吹っ飛びました!

手技で足へのアプローチの様子

また、セブ島では、ホットストーンマッサージがとても盛んなようで、今回はホットストーンを使っての施術を受ける時間がなかったのですが、ぜひいつかまた挑戦してみたいと思います。

今回受けた薬草を使った施術を日本で再現してみるとすると……真っ先に思うのはやはり、ヨモギ、そして里芋、ドクダミの葉っぱあたりでしょうか。しかしながら、葉っぱがとても小さいのでつなぎ合わせて大きな面にするでしょうね。インドネシアも昨年訪れて、その薬草の豊富さや使い方にとても感動しました。まるでキッチンと施術場が繋がっているような、そんなアジア独特の雰囲気を感じました。

現地での施術を満喫し、心も身体もピカピカに!

 

セブ島の食事事情も、ちらり

セブ島は本当に韓国料理=焼き肉が多く、びっくりしました。折角なのでまんべんなく色々と試してみたかったので、大型のショッピングセンターに行きました。中でも人気なのは「Jollibee(ジョリビー)」(ハンバーガーを中心とした、フィリピン最大のファストフードチェーン)でしょう! マクドナルドやケンタッキーなどを遙かにしのぐ人気で、大行列だったので、次回のお楽しみにとっておきました。

今回、私が一番美味しく感じたのは、マンゴーのデザートやウベ(紫芋)とブコ(フィリピンではココナッツの意味)を使ったケーキでした! マンゴーやココナッツはとても安くて美味しく、本場のハロハロも頂いてきました。ハロハロはこんな感じで、かなりの甘さでした。

タガログ語で「混ぜこぜ」を意味する「ハロハロ」は、フィリピン発祥の代表的なかき氷デザート

今回の旅は、マッサージ三昧でしたが、効果を見たいから1日に1つ以上は受けない、と決めていたので、そこまで多くは受けられませんでした。でも、日本ではめったに受けられないものばかりで、とても勉強になりました。
いつかまたフィリピンの他の島でも、その島独特の薬草を使ったオリジナルのセラピーを受けに行きたいと思います。海外での新しい発見を次の施術に活かし、セラピストとしてどんどん進化していきたいです!

 

プロフィール

Yuki(ゆき)さん
内臓マッサージ協会代表理事/Yuki式チネイザン創始者。延べ10万人以上をサポートしてきた内臓セラピーの専門家。世界各国でチネイザン・自然療法・心理学・陰陽五行を学び、日本人女性の体質や感情に寄り添う独自メソッド「Yuki式チネイザン」を開発。現在はセラピスト養成や講演、著書出版、海外展開も行う。最新刊『お腹痩せチネイザン』(小社刊)も好評発売中!
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    「本」は思考・感情・行動を整理し、問題解決へと導くーー

    第1特集は「リラクゼーションは、心と身体の“最良の薬”」。第2特集は「心に処方する読書セラピー」です。健康と病気の過程の状態である“未病”。ここにアプローチできるセラピストならではのメソッドが満載です!

    ●第1特集
    セラピストだからできる未病を治すアプローチ
    リラクゼーションは 心と身体の“最良の薬”
    ●第2特集
    思考・感情・行動を整理し、問題解決へと導く
    心に処方する 読書セラピー

    ほか

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