心理療法、なかでもゲシュタルト療法の技法の1つに「エンプティチェア(empty chair/空の椅子)」というものがあります。
クライアントを椅子に座らせ、その前に誰も座っていない椅子を置き、そこに「誰か」がいると見立てて進めていく心理療法です。
例えば、
・幼い頃のクライアント自身
・会社で関係がこじれてしまった同僚
・亡くなった夫
・生き別れになった家族
などです。(これらは筆者が実際に関わった事例の一部です)
クライアントは、カウンセラーの導きによって、(エンプティチェアに座っている)相手へどんな言葉をかけるか、言いたかったけれど言えずに抑えてきたことなどを表出させていきます。
また途中で、逆にエンプティチェア側へクライアントを座らせることもあります。
そして、いま対象の視点から見て、自分へどう声をかけたいか、などを紐解いていきます。
具体例を挙げると、夫が自死してしまうも、周囲に隠したまま、子どもたちを必死に育ててきた女性がいました。
エンプティチェアに夫がいると仮定すると、「いまさら、何も話すことなんてない」と頑なでした。
しかしエンプティチェアに彼女が座り、夫側の視点から自分を見ることなどを重ねるうち、自分が強くあろうと、泣かずに必死に頑張ってきたこと、また夫の自死の前兆に気付けなかった自分を責め続けていること、その罪悪感や壊れそうな心を守るために、夫を拒むほかなかったことなどにたどり着きました。
このように物理的に視点を変えることで見えてくるものあるのですね。
サロンでも、たまにお客さまの位置に立ってみる。座ってみる。横になってみる。
これって大事なことかもしれませんね。
普段の施術者の視点からだけでは気づかないことに気づくことができ得るのではないでしょうか。
物理的・実用的なことかもしれませんし、心理的な圧迫感を感じる要素があるとか、色や照明、窓からの採光など、リピートに繋がらない理由を探るヒントになるかもしれませんね。
急に予約が途絶える・こなくなるお客さまとか、2度目につながらないお客さまとか、理由を言ってくれることって、おそらくほぼありませんよね。
そんな時、いくら考えてもなかなか真相にはたどり着けないもの。物理的な視点の転換が、心理的にも視点を変えてくれることっておおいにあるのではないでしょうか。
たまにはお客さま側の視点に「物理的に」立ってみることで、そのあたりの謎を探ってみませんか?(^^)
編集部O
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