もっと知りたい「ヨーガ療法」ヴェーダ瞑想で健やかな認知へ

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ヨーガというと、みなさんはどのようなものをイメージをしますか?
インストラクターの指導に合わせて、ゆったり呼吸をしながらアーサナ(ポーズ)をとっていく、というのが一般的なイメージではないでしょうか。

一方、「セラピスト6月号」で紹介している「ヨーガ療法」は、「療法」とつくとおり、より心身の健康増進や、病気の治療、予防に特化しています。
・体操法
・呼吸法
・瞑想法
主に上記の3つの技法を用いてクライアントの心身の悩みや課題へアプローチします。

体操法と呼吸法は本誌でご覧いただくとして、今回は瞑想法について、日本ヨーガ療法学会認定ヨーガ療法士である吉田直美さんが解説します。

文◎吉田直美

苦しみを生む原因は、自分自身の中に!?

ヨーガの聖句に「この世は我心の合わせ鏡。汝、この世に何を見るか」というものがあります。

これは「人は、自分の内にあるものを、外の世界にも見る」という智慧の言葉です。
自分の目の前に繰り広げられることは、自分の心を映し出しているというわけです。

すなわち「私たちは自分の見たいように世界を見ており、自分のものの見方、つまり“認知”が自分の苦しみを生む」という教えです。

ヨーガ療法では、健やかな心身、精神的成長のためには、その人がどのように物事を捉えているかという「認知のあり方」を重視します。

自分の認知のあり方を客観的に見つめ、その誤りに気づき、自分の力で認知のあり方を健やかなものへと修正することが、日常生活や健康上の問題解決に必要だと考えます。心のあり方を変え、自分がどう世界を見るのかが変わることで、自分を取り囲む環境や人間関係も変わってきます。

そこでヨーガ療法では、認知のあり方を客観的に見つめて、認知の誤りに気づき、健やかな認知に修正するために、伝統的なヨーガ瞑想法の「ヴェーダ瞑想」を用います。

認知の誤りに気づき「健やかな認知」へ修正するヴェーダ瞑想

瞑想というと、雑念を払い“無”になるものを想起しがちですが、ヴェーダ瞑想は「考える瞑想」といえます。

与えられたテーマについて考えることで、自分を振り返り心のあり方に気づくことで、不調の原因となっている認知を修正し、不調を予防するのです。

テーマは主に、「ヨーガ・スートラ」など心のあり方が綴られたヨーガ教典から、クライアントの認知の修正につながる内容を選択して提示します。

ヴェーダ瞑想は次の4段階で行います。

①聴聞(シュラヴァナ):瞑想テーマの共有、瞑想への動機づけ
②熟考(マナナ):自分の心と向き合い、客観的に瞑想テーマについて考える
③日常の深い瞑想(ニディディヤーサナ):瞑想による気づきを日常生活に落とし込んでいく
④悟り(ギャーナ):心のあり方を変容させる

ヴェーダ瞑想の実例

では、ヴェーダ瞑想の実例を見てみましょう。
クライアントは、更年期の不調に悩む40代女性です。

①聴聞(シュラヴァナ):

ヨーガ療法士「これまでの人生でもさまざまな困難を乗り越えてきたことがあったのではないでしょうか。その経験を思い出すことは、現在の困難を乗り越える上で自信を与えてくれるかもしれません。
少しお時間を取って、これまでの人生で困難を乗り越えた体験、またその困難な体験から学んだことにについて考えてみませんか?」

②熟考(マナナ):

目を閉じて安定した姿勢でテーマについて、5分ほど考える

③日常の深い瞑想(ニディディヤーサナ):

ヨーガ療法士「どんなことを思い出されましたか? 瞑瞑想中に思い出したこと、考えたことについて、お話ししたいことがあれば聞かせていただけませんか?」

クライアント「そういえば20代の時にも体調を崩して心身ともに辛い時期があったことを思い出しました。いろいろな病院に行っても不調が改善しなくて、しばらく気持ちも沈んで何をする気にもなれませんでした。
でもその後、生活を変えてみたり心が元気になることを探してみたりと試しているうちに、症状が改善していったことを思い出しました。
すっかり忘れていましたが、心が元気になっていくことで症状も楽になったように思います。
今回も更年期の不調はしんどいのですが、ヨガをしたり、生活を変えたりすることで心と身体を元気にしていけたらと思いました」

ヨーガ療法士「“健康は病の時につくられる”ということもあるのかもしれませんね。不調を感じるからこそ何かを変えてみようと思い、その思いによって生活が変わることが健康につながっていきますよね。
また日常生活の中で気づいたことがあれば、ぜひ次回教えてください。お話を聞かせていただきまして、ありがとうございました」

④悟り(ギャーナ):

その後もクライアントが日常生活の中で瞑想テーマを反芻することで、心のあり方が変わり、更年期の不調への捉え方が変化し成長していく。

いかがでしょうか?
ものの見方を変えたい、自分を変えたいと思っても1人ではなかなか難しいもの。
そんな時、ヨーガ療法士の力を借りてみるのも良いかもしれませんね。

本誌では、より詳しく具体的にヨーガ療法を解説しています。
ぜひご一読くださいね。

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